想い、想われ、振り、振られ。この物語はチンチラ達の恋愛を壮絶に描いたものである。
あれから1ヶ月が経ち2ヶ月が経ち3ヶ月が経ち、日に日にどんどんお腹が大きくなっていくマロン♀。それと同時にそわそわする我が家の絶対的主(あるじ)ママゴン。
チンチラに詳しいお医者さんに妊娠エコー検査をしてもらい、
普段食のチモシーに栄養価の高いアルファルファを混ぜ、
妊娠中の事故がないように、ほぼ24時間体制でつきっきりのママゴン。
ママゴン:『出産予定日まであと20日だね。』
ママゴン:『出産予定日まであと19日だね。』
ママゴン:『出産予定日まであと18日だね。』
ママゴン:『出産予定日まであと17日だね。』
俺:『ヤギミルクをネットで購入しておいたよ。』
ママゴン:『少し大きいゲージに移そうか。』
俺:『出産場所はここら辺だろうから、ペット用トイレシートはここに敷けばいい?』
ママゴン:『出産予定日まであと16日だね。』
もう完全に初孫誕生を待ちわびるジジババである。
ママゴンは、布団ではなく冷たいフローリングの上で24時間ずーと横たわりながらマロンを見守っているため、『あぁ~。背中が痛い』『眠い・・・』『今日は月曜日だっけ?あっ、もう水曜日か』など、心身ともに疲弊しているようだ。
そして・・・出産予定日を二日過ぎた11月18日深夜の事だった。
マロンはゲージの左奥隅でトトロポーズを執りだした。とろろではないトトロだ。
チョコ♂も心配して「キュンキュン」と鳴きだす。
産道の入り口をしきりに気にするマロン。
いよいよ出産だ!世紀の瞬間だ!!
世紀の瞬間を一目見ようと、世界中から集まった報道陣約100名とカメラ数10台がマロンを取り囲む。
産道から何かを取り出そうとして、ぐったりして、再び取り出そうとして、またぐったりして、立ち上がったり、うずくまったり、そんな悪戦苦闘を繰り返しながら2時間ほど経過した時、黒い塊が出てきた。
生まれた~。やっと生まれた~。よかった~。
世界中から集まった報道陣がパシャパシャとカメラのシャッターを切る中、全世界約80億人が感動で泣いた。
あんずの誕生である。
※この物語に登場する人物及びチンチラや関係事象はすべてフィクションであり、実在の人物やチンチラなどとは一切関係ありません。